「花の文化史　花の歴史をつくった人々」
春山行夫著　昭和55年初版　講談社刊　B5判　875頁　二重箱付　
解説：春山幸夫氏は生涯に３種類の「花の文化史」を著わしています。中央公論社から出した新書判の全３巻（昭和29-昭和32）が最初で、更にそれを増補改訂し総合的な内容の新装版として１冊にまとめて雪華社から出したもの（昭和39）が２回目。その再版/重版も出ました（昭和45）。増補改訂版と銘打って雪華社から出た再版（昭和39、45年の２回）はバラ、カーネーション、スミレ、スイセン、ダリア等、人気の草花の増補にのみ集中したため、オリジナル（昭和29-32年）に収載されていたかなりの数の草花が割愛される結果となっている。従って、中央公論社刊の初版と雪華社刊の再版（２回）の内容は、一部の重複はあるものの、かなり異なっていると言えます。最後に、春山氏のライフワークとも言える西洋における花と園芸文化史研究の集大成として、講談社から「花の文化史　花の歴史をつくった人々」（昭和55）を出版。大判、重厚で二重箱という大掛かりで豪華な装丁となっています。

「シリーズ自然と人間の日本史２　花の日本史　別冊歴史読本特別号」
木村陽二郎監修　平成元年初版　新人物往来社刊　A4判　157頁　　内容：「ボタニカルアートの黄金時代」（木村陽二郎著）、「はなと日本人」（吉田光邦著）、「古典に咲く花」（山崎しげ子著）、「花に狂った士農工商」（岩佐亮二著）、「百花撩乱・花の故事と名前の由来」（深津正著）、「エッセイ」（田中澄江著）、他

（英）"THE CULTURE OF FLOWERS"
by J. Goody (1993年初版　英国)　243mm X 170mm　本文462＋カラー写真８頁　ペーパーバック(厚紙表紙)版　表紙には経年による小スレ、小縁ヨレ、小折レ、僅かなキバミ少々有り。本体は使用少なく、状態良好。内容：英国Cambridge University Press出版。著者の社会人類学的見地から、花の象徴的利用と花を用いた商取引の歴史をテーマに据えた「花の文化史」。本書は、西アフリカで歴史上花の利用や表現がほとんど見られなかった理由の検証から始まり、文明の発祥地古代エジプトから現代文明の中心地ヨーロッパへと花の文化の流れを日常生活や宗教儀式の中で観てゆきます。また一方で別の視点から、ヨーロッパとアジアの鑑賞園芸の歴史を俯瞰しながら、花の利用が農業と経済発達を促し、結果、社会階層と富や贅沢品の横溢を引き起こしているとも指摘しています。もう一つの重要なテーマは、交易や情報伝達の発達により、文章や書物が花の持つ意味を多様にし、広範囲にばらまくことになったことにより、花に対する態度や見方が変わってきたとする、花にまつわるシンボリック(symbolic=象徴的)な意味の変遷です。更に文化大革命下の中国における花に込められた美学的な意味と政治的な象徴についての検証は、本書を特徴付けるユニークな研究の１つとなっています。テキストは全て英語のみ。

「植物文化人物事典　江戸から近現代・植物に魅せられた人々」
大場秀章編　2007(平成19)年初版　日外アソシエーツ刊　A5判　序/目次７＋事典632頁　表紙カバー、帯付。新品　内容：植物学や農学，園芸学などの学問分野の専門家に限ることなく、篤志家，詩人や歌人、画家、政治家など、多少なりとも植物文化に関わりのあった故人の方々も網羅し，彼らの略歴と植物文化への貢献と著書、参考となる資料などを記載、集大成した人名事典。五十音順の配列。巻末には人名索引と事項名索引付き。植物を愛した1,157人を集大成。本邦初の植物文化に関する"Who's Who"(人名録/事典)。安達瞳子、伊藤圭介、昭和天皇、鈴木省三、徳川吉宗、前田曙山、牧野富太郎、吉田茂。。。他。